【背中トレ完全版】背中を鍛える為にやるべき種目やメニューの組み方について
男性ならば、逆三角形の肉体は誰もが憧れるものです。
発達した背中の筋肉は、背後から見た時だけでなく、前から見た時の見栄えに大きく関わります。
背中の筋肉を鍛えると、姿勢の維持や物を持ち上げたり、引っ張ったりする際などの日常生活にも良い影響を与えることができます。
本記事では、背中の筋肉の基本的な構造から、効果的なトレーニング方法まで、腕トレのすべてを徹底的に解説します。
背中の筋肉の構造とトレーニング方法について
背中の筋肉の基本的な構造と機能
背中の筋肉を効率よく鍛えたいのであれば、背中の筋肉群について理解する必要があります。
鍛えるべき背中の筋肉については以下の通りです。
- 僧帽筋(そうぼうきん)
- 広背筋(こうはいきん)
- 大円筋(だいえんきん)
- 菱形筋(りょうけいきん)
- 脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
その他にもインナーマッスル(身体の深いところに位置する筋肉)である棘下筋や小円筋などがありますが、重点的に鍛えなくても問題ないので説明は省略します。
筋肉の名前だけ言われても理解できない人も多いと思いますので、それぞれの筋肉について解説していきます。
僧帽筋
背中の上部から中部、そして首の周辺に広がる大きな筋肉のことを「僧帽筋」といいます。
僧帽筋は主に三つの部分から成り、それぞれ異なる機能を持ちます。
- 僧帽筋上部
- 僧帽筋中部
- 僧帽筋下部
僧帽筋は正しい姿勢を支える上で特に重要です。
デスクワークなどで前かがみの姿勢を取ることが多い人は、僧帽筋を鍛える事により負担を軽減することができます。
広背筋
背中の筋肉の中で一番大きい筋肉が「広背筋」です。
広背筋は、背中の下部に位置する大きな筋肉で、体の上半身における重要な筋肉の一つです。
広背筋を鍛えるのならば、広背筋の上の方である「広背筋上部」と広背筋の下の方である「広背筋下部」に分けてトレーニングするといいでしょう。
広背筋は広範囲にわたっており、肩甲骨の下部から脊柱の中央、腰の部分にまで広がっています。
猫背を改善したい人や、背中の広がりをつけたい人は、特に重点的に鍛えるべき部位です。
大円筋
背中、特に肩の周辺に位置する比較的小さな筋肉を「大円筋」といいます。
大円筋は他の背中や肩の筋肉と協力して機能するため、全体的な肩関節の健康と動きに重要な役割を果たします。
大円筋を鍛えることで、肩の安定性や上半身の力が向上します。
菱形筋
背中の中央部分に位置する筋肉群で、僧帽筋の下に隠れる筋肉を「菱形筋」と言います。
菱形筋は二つの筋肉から構成されています。
- 大菱形筋
- 小菱形筋
小菱形筋は、首の下部の脊椎から上部の肩甲骨にかけて位置し、大菱形筋はそのすぐ下に位置します。
肩凝りや肩の可動域を広げたい人は、菱形筋を鍛えるようにしましょう。
脊柱起立筋
背中の中央にある一群の筋肉で、脊椎(背骨)を支える重要な役割を担っている筋肉が「脊柱起立筋」です。
脊柱起立筋は、骨盤から首まで続いており、主に脊椎の伸展、側方への曲げ、回転を担当します。
脊柱起立筋は以下の三つの筋肉から構成されています。
- 棘筋(きょくきん)
- 最長筋(さいちょうきん)
- 腸肋筋(ちょうろくきん)
鍛えられた脊柱起立筋は日常生活で活躍する場が多くあり、立つ、座る、歩く時の姿勢や、前屈みからの起立、体を捻るときなどに関与します。
また、脊柱起立筋のトレーニングは腰痛の予防にも効果があります。
背中のトレーニング方法
背中の筋肉の構造について理解した次は、上記で紹介した5つの筋肉群のトレーニング方法についてご紹介します。
トレーニングをするときは、鍛えている筋肉を意識する事が大切です。
つまり、トレーニングをしている際には、以下のような考え方はダメです。
今は背中のトレーニングをしている。
いい考え方は以下の通りです。
今は背中のこの部位をトレーニングしている。
適当にトレーニングを行なっても多少は成長します。
ですが、鍛えている部位を意識してトレーニングを行えば、何倍も効率よく狙った部位を鍛えることができます。
鍛えている部位を意識するには
- 多少の筋肉の解剖学の知識
- トレーニング内容の知識
これらが重要になってきます。
多少の筋肉の解剖学の知識は上記で紹介しましたので、続いてはトレーニング内容についてご紹介していきます。
「僧帽筋・上部」を鍛える方法
僧帽筋は肩甲骨周辺に位置し、発達すると肩の幅が広く見える効果があります。
特に「僧帽筋上部」を鍛えると、前面から見た時の迫力が大きく増します。
僧帽筋上部の主な機能は肩甲骨を上げること(例:肩をすくめる動作)と、首を後ろに傾ける、または横に回す動作です。
僧帽筋上部を鍛えるには、「シュラッグ」がおすすめです。
シュラッグ
シュラッグはダンベルやバーベルで行うことができます。
ここではダンベルでのシュラッグのやり方についてご紹介します。
足を肩幅に開き、両手でダンベルを持ちます。
ダンベルは体の両側に自然に垂らし、掌は体の方向を向けます。
肩を上に向かってできるだけ高く持ち上げます。
この時、肘は曲げずにまっすぐに保ちます。
肩を耳に近づけるように意識し、最上部で1~2秒間ポーズを取ります。
その後、ゆっくりと肩を下ろし、初期位置に戻ります。
「僧帽筋・中部」を鍛える方法
肩甲骨の間に位置し、肩甲骨を背骨に引き寄せる動作(例:肩を後ろに引く動作)に関与します。
僧帽筋の中部を鍛えるには、「ベントオーバーローイング」がおすすめです。
ベントオーバーローイング
ベントオーバーローイングは腰に負担がかかる種目でもあるので、腰が弱い人にはあまりおすすめできません。
また、腰が弱くなくてもフォームが崩れていると、腰を痛める原因になってしまいます。
ですので、この種目は正しいフォームで行うことが一番大切です。
膝を軽く曲げ、腰を落としながら上半身を前に傾け、上半身はほぼ水平か、それに近い角度になるまで前に倒します。
バーベルを両手で、肩幅より少し広めに握ります。
背筋を伸ばした状態を保ち、バーベルを胸の方向に引き上げます。
肩甲骨を寄せるように意識しながら、肘は体の側面に沿って引きます。
バーベルを胸の下部付近まで引いたら、バーベルをゆっくりと下ろし、開始位置に戻ります。
「僧帽筋・下部」を鍛える方法
僧帽筋の下部は、肩甲骨を下方に引く動作に関与します。
これは、肩を動かす際や腕を上げる際に特に重要になります。
僧帽筋の下部を鍛えるには「フェイスプル」がおすすめです。
フェイスプル
フェイスプルは主に肩の三角筋をメインで鍛える種目ですが、僧帽筋の下部にも有効です。
ケーブルマシンを使用し、ロープアタッチメントを頭の高さかそれより少し高い位置に設定します。
腕を伸ばし、ケーブルを頭の両側に引くようにして顔の前まで持ってきます。
ゆっくりと腕を伸ばして初期位置に戻ります。
「広背筋・上部」を鍛える方法
広背筋の上部は腕を体の横や後ろに引き下げる動きに関与しています。
広背筋は背中の筋肉の中で最も大きい筋肉なので、背中を大きくしたいのならば一番重点的に鍛えるべき筋肉です。
そんな広背筋の上部を鍛えるには「チンニング(懸垂)」がおすすめです。
チンニング
チンニング(懸垂)は家の中でも公園でもできる、非常にコストパフォーマンスの良い最強のトレーニングです。
背中の種目で一種目だけしかできないのであれば、チンニングを選ぶ人が多いくらい背中を鍛えるのに効果的な種目です。。
懸垂バーを肩幅程度かそれより広めに握ります。
体を吊り下げる形で懸垂バーにぶら下がり、この時、背筋はまっすぐで、足は地面から離れている状態です。
胸をバーに付けに行くイメージで上体を上げていきます。
できるのであれば、反動は使わないで上体を上に上げていきましょう。
体をゆっくりと下ろし、腕を完全に伸ばしきるギリギリの所で止めましょう。
「広背筋・下部」を鍛える方法
広背筋の下部は鍛えるのが非常に難しい部位です。
ですのでトレーニングを行っている人の中でも、広背筋の下部が発達している人は非常に少ないです。
だからこそ、広背筋の下部を発達させることができれば周りと差をつけることができます。
そんな広背筋の下部を鍛えるには「シーテッドロウ」がおすすめです。
シーテッドロウ
シーテッドロウはマシンでもケーブルでも行うことができ、初心者にもおすすめの種目になります。
マシンに座り、足をフットプレートにしっかりと置き、膝は軽く曲げます。
ケーブルを握り、背筋を伸ばし、胸を張った姿勢を取ります。
肘を体の側面に沿って後ろに引きます。
最後の位置で、肩甲骨が寄るように意識します。
ケーブルをゆっくりと元の位置に戻しながら、腕を伸ばします。
「大円筋」を鍛える方法
大円筋は腕の内旋、つまり腕を内側に回す動作に関与します。
大円筋を鍛えるには、上から引く種目が特に有効的になります。
ですので、大円筋鍛えるのにおすすめの種目は「ラットプルダウン」です。
ラットプルダウン
普通にラットプルダウンを行っても大円筋に刺激は入るのですが、大円筋だけにフォーカスする場合は「ワイドグリップでのラットプルダウン」が特に有効です。
ワイドグリップは、手幅を最大まで広くして行うやり方です。
バーを手幅が目一杯広くなる場所で握ります。
背筋をまっすぐにし、胸を張った姿勢を取ります。
視線を斜め上にし、バーを胸の方向に引き下げます。
バーをゆっくりと初期位置に戻し、一回カウントします。
「菱形筋」を鍛える方法
菱形筋は肩甲骨を背骨に引き寄せる動き(肩甲骨の内転)に関与しています。
菱形筋には「大菱形筋」と「小菱形筋」があると説明しましたが、分けて鍛える必要はありません。
菱形筋を鍛えるには、「ダンベルベントオーバーローイング」がおすすめです。
ダンベルベントオーバーローイング
ダンベルは動きが自由で、より広い範囲での運動が可能です。
これにより、狙った筋肉をより深く刺激できます。
足を肩幅に開き、膝を軽く曲げます。
腰を落とし、上半身を前に傾けることで背中がほぼ平行になるまで前傾します。
ダンベルを体の側に沿って引き上げます。
上腕が体の側面に沿って動くようにし、肘は体に近い位置を保ちます。
ダンベルをゆっくりと元の位置に戻し、一回カウントします。
「脊柱起立筋」を鍛える方法
脊柱起立筋は脊椎の前屈、後屈、側屈、そして回旋(ねじれ)に関与します。
脊柱起立筋は直立姿勢を維持するのに不可欠で、座っているときや立っているときに脊椎を支えます。
そんな脊柱起立筋を鍛えるには「デッドリフト」がおすすめです。
デッドリフト
デッドリフトもベントオーバーローイングと同様に、悪いフォームで行うと腰に負担がかかってしまいます。
ですが、正しいフォームでデッドリフトを行えば、背中全体が鍛えられ、腰痛の改善効果が期待できます。
バーベルの前に立ち、足を肩幅かそれより少し広めに開きます。
バーベルは足の甲の真上に配置します。
上体を前に傾けてバーベルを握ります。
握り幅は肩幅くらいです。
背筋を伸ばし、胸を張り、腰を落とし、お尻を後ろに突き出します。
バーベルを持ち上げながら体をまっすぐに立てます。
最終的に肩を後ろに引いて胸を張ります。
バーベルをゆっくりと元の位置に下ろし、この際も背筋はまっすぐに保ちます。
トレーニングのセット数と回数
トレーニングの際には、以下の3つの目的を設定し、それに応じたセット数と回数でトレーニングを行うことが重要です。
- 筋肉を大きくしたい「筋肥大」
- より強いパワーを得たい「筋力」
- 筋肉の耐久力を高めたい「筋持久力」
これらの目的に基づいてトレーニングのセット数と回数を適切に調整することで、より効果的なトレーニングが可能になります。
それぞれの目的に合った回数やセット数については以下の記事で紹介しています。
トレーニングプログラムの組み方
背中のトレーニングを行う上で知っておいた方が良いことがあります。
それは、背中の筋肉の回復には大体72時間かかると言うことです。
背中を大きくしたいからと言って、筋肉痛がきているのに回復を待たずにトレーニングを行うと、トレーニングの質の低下や怪我の原因となります。
ですので原則として、背中のトレーニングを行なったのであれば、次の背中トレまで72時間開けるようにしましょう。
トレーニングメニュー
背中のトレーニングの日に何をすればいいのかわからないという人の為に、トレーニングメニューの例をご紹介したいと思います。
- デッドリフト
- 1セット目:12回(80kg)
- 2セット目:12回(80kg)
- 3セット目:8回(100kg)
- 4セット目:8回(100kg)
- 5セット目:6回(110kg)
- 全セットインターバル3分
- ベントオーバーローイング
- 1セット目:12回(40kg)
- 2セット目:12回(40kg)
- 3セット目:8回(60kg)
- 4セット目:8回(60kg)
- 5セット目:6回(65kg)
- 全セットインターバル3分
- チンニング
- 1セット目:限界まで
- 2セット目:限界まで
- 3セット目:限界まで
- 4セット目:限界まで+ジャンプしてゆっくり下がる5回
- 5セット目:限界まで+ジャンプしてゆっくり下がる5回
- 全セットインターバル3分
- ラットプルダウン
- 1セット目:12回(40kg)
- 2セット目:12回(40kg)
- 3セット目:8回(50kg)
- 4セット目:8回(50kg)
- 5セット目:6回(60kg)
- 全セットインターバル3分
- シーテッドロー
- 1セット目:12回(30kg)
- 2セット目:12回(30kg)
- 3セット目:8回(45kg)
- 4セット目:8回(45kg)
- 5セット目:6回(60kg)
- 全セットインターバル3分
あくまで例なので、セット数や回数、種目は自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
背中のトレーニング頻度
背中を鍛えたいからといって、トレーニングを毎日行うのは良くありません。
上記でも少し説明しましたが、背中の筋肉の回復には約72時間必要とします。
ですので少なくとも3日は空けるようにしましょう。
以下は、背中のトレーニング頻度の例です。
- 3日以上続くぐらいの筋肉痛になるまで背中を追い込める場合は週に一回
- 3日以内に筋肉痛がおさまる程度の場合は「月曜・木曜」の週に二回
- 全く背中が鍛えられている気がしない場合は、フォームの練習も兼ねて「月曜・水曜・土曜」の週に三回
- 健康目的で軽く筋肉を動かす程度の場合は毎日
トレーニングを行う時間や内容、目的、回復にかかる時間は人それぞれです。
自分に合ったトレーニング頻度は人それぞれ違うので、自分の身体の様子を見ながら頻度を決めるようにしましょう。
背中のトレーニングの効果が出始めるまでの期間
筋トレを始めたばかりの初心者の人は、すぐにトレーニングの効果が出始めるのを期待します。
お風呂に入る前に鏡の前でポーズをとる人も多いでしょう。
しかし、現実を知っておかなければモチベーションの低下につながってしまいます。
そうならないためには、トレーニングの効果が出始めるまでの期間を知っておく必要があります。
一般的に、トレーニングを開始してから筋肉の成長や強さの向上を感じ始めるまでには、少なくとも4週間から8週間はかかると言われています。
しかし、実際に外見が変化し始めるのは、一貫してトレーニングを続けた場合、3ヶ月から6ヶ月後くらいになることが多いです。
その他にも、個人の遺伝的要素、トレーニングの頻度と強度、栄養状態、休息と回復の質などが、筋肉の成長スピードに関わってきます。
トレーニングの効果が出始めるまでの期間については以下の記事でご紹介しています。
すぐに目に見える効果が出ないからといって落胆せず、長期的な視点でトレーニングを継続することが重要です。